エコシップマーク誕生の背景

 地球温暖化防止に関する京都議定書で定められた削減目標を実現に近づけるため、また世界的にエネルギーを巡る諸情勢に対応するため、エネルギー消費量の伸びの著しい運輸分野における対策の導入を中心とした「改正省エネ法」が平成18年4月に施行されました。  これにより海に囲まれた日本にとって古くから利用されてきた優れた輸送形態である海上輸送の役割が、改めて見直されることになったのです。  同年10月、国土交通省において、フェリー、RORO船、コンテナ船などの海上輸送事業者がメンバーとなる「海上輸送モーダルシフト推進検討会」が設置され、海上輸送におけるモーダルシフトの一層の推進が図られることになりました。   モーダルシフトとは、貨物輸送分野の中で効率的な輸送機関への転換を図ること。つまりトラックを中心とした陸上輸送から、環境負荷の少ない大量輸送機関であるフェリーや内航海運、鉄道貨物への転換をすすめることで、運輸部門による二酸化炭素の排出量を大幅に減少させようというものです。  海運利用ならCO2の排出量を約1/5に削減することができます。また大型車両の陸上での通行量が減ることにより、大気汚染の原因とされる窒素酸化物(NOx)や浮遊粒子状物質(SPM)の排出を削減させることができ、さらに交通渋滞の緩和も見込めるという「おまけ」も得ることができます。   「海上輸送モーダルシフト推進検討会」では、上記省エネ法に基づくCO2削減計画に貢献する海上輸送サービスの実態を認識していただくために、一次的な荷主である物流事業者だけでなく、メーカー等の「真の荷主」に対して、直接働きかけを行ってきました。この活動の一環から生まれたのがエコシップマーク認定制度です。

フェリー  フェリー(Ferry)あるいはカーフェリーとは、従来からある客船や貨物船とは異なり、旅客や貨物を自動車ごと運搬できるようにした船をいい、自動車などモータリゼーションの普及と共に発展してきました。  1964年の東京オリンピック直後からモータリゼーションが急速に普及してきました。高速道路の拡張や鋪装道路の増加等、道路整備が進みにつれ、さらに一般大衆にも購入可能な価格の大衆乗用車の出現、保有台数自動車免許取得の増大とともに乗用車購入世帯が大幅に増えてきました。モータリゼーションにおける様々な環境が整備されてきたことで、首都圏から北海道、九州へと長距離のドライブが増えたこともカーフェリー普及に弾みをかけました。移動の利便性を高めるため、高速型のフェリーが増えてきました。高速性を維持するために、フィンスタビライザー(横揺れ防止装置)や船を横方向に動かすバウスラスター、ピッチを自在に変えられる可変ピッチプロペラなどの最新の装備を用い、客船並に乗り心地を向上させてきました。夜出発し翌日着といった夜間運航船が多いため、客室には大型ベッド、大型テレビ、バス・トイレなどホテル並の船内設備が設けられ、さらに展望浴室やレストランなどが、長い時間も飽きさせない充実した船内生活を過ごすことが出来るのが最近のフェリーの特徴です。